2010年12月20日月曜日

安藤忠雄 ★ 建築家


かつて住吉の長屋にコンクリ打ちっぱなしのプラモデルみたいな家をつくり、この上もなく生活感にみちた家にしてしまった建築家の本。雨の日、傘をささないとトイレにいけない中庭のある家、とんでもない。そのとんでもない理由が、この本を読むとわかる。そして、建築の抱きこむ、住と人との関係、町と人との関係、さらには、地球と人との関係を、問題提起をもって挑む建築家の自伝エッセイでした。

ちなみに住吉の長屋の「そのとんでもない理由」の断片は、、、

なぜ街に無表情な壁を向け、合理的な動線計画という現代住宅の不文律を破るような構成を選んだのか、、、

問題はこの場所で生活を営むのに本当に必要なものは何なのか、一体住まうとはどういうことなのという思想の問題だった。それに対し、私は自然の一部としてある生活こそが住まいの本質なのだという答を出した。限られたスペースであったからこそ、その厳しさもやさしさも含めた自然の変化を最大限獲得できることを第一に考え、無難な便利さを犠牲にした。
「無難な便利さ」、、気になる言葉です。特に自然に求める「無難な便利さ」は、不便で理不尽な災害や、不快な自然の部分はそぎとろうとする。建築は、川の埋め立てにのっかる。それでいいのか?
考えさせられました。川の埋め立て、、、については、2009年の彼のプロジェクト、大阪VSベニス、、、というインタビューがあります。

http://www.tadao-ando.com/news01.html


私は以前から建築に興味があったわけじゃないけど、安藤さんは関西の方なので、よくテレビのインタビューや新聞に登場され、スキッとした関西弁が、カッコよかった。そして何らかの問いを聞き手に残していかれることが多く、いつの間にやら私も彼の建築を見たくなり、じゃぁ、って出かけて見ると、彼の」残した問いが更に生々しく、なんともいえない感動を覚えるのでした。

その場所にその時代にしか出来ない建築。
現実の年をいかに考えているか、いかなる問題提起をしているか。重要なのは建築の背後にある意思の強さだ。
383ぺージ、読んだ、読んだ。
そんでもって、この本、手にとって気持ちいい大きさ、紙と印刷もちょいと凝ってます。


1 件のコメント:

Globe さんのコメント...

こんにちは!

安藤忠雄さんは,今月日経新聞の「私の履歴書」を連載していますが,この方は完全に独学なのですね.

住吉の長屋のことも出ていました.